彩りの世界の中で

エッセイ風に描く日常の風景

真夜中の電車

就活中の私は、今日も企業で面接があった。
手ごたえは、ほぼ無い。
これで10社目だ。
こうも立て続けに落ちると、自分が社会必要とされていないのではないか。と思えてきた。
一人暮らしのマンションに帰ってきて、手早く着替えを済ませて、早速、求人サイトを検索する。
ご飯を食べる気力も無いので、コンビニで買ってきたお菓子を食べながら、ひたすらネットサーフィンをする。
気づいたら夜中の2時すぎ。
もうこんな時間か。とそろそろお風呂に入ろうか。と動き出そうとした瞬間に
ファァァン!
電車のクラクションが聞こえた。
私は耳を疑った。
確かに、私の住んでいるマンションは、目の前が線路になっているが、もう終電はとっくに過ぎている。
こんな時間に電車の音が聞こえるなんて、ありえない。
私の空耳だろうか。
そんなはずはない。確かに聞こえた。
あまりにも就職が決まらないので、神様がお迎えにきたのだろうか。
それなら、それで、なんだか面白い。
私は神にでもなれるのだろうか。
恐る恐るカーテンを開けてみる。
駅の方が明るい。電気が点いている。
恐らく、線路の点検か、電車の試走だろう。
なんだ。と、ホッと安心する。
けど、こんな時間まで働かないといけないなんて、鉄道関係も大変だなぁ。
私は、もし就職できたら、会社のために、そこまで出来るのだろうか。
自分を犠牲にして、自由を捨てて。
社会に貢献出来るのだろうか。
「…寝よ」
考えても仕方ない。
今は、目の前の生活を守らなければ。
自由があるとしたら、その先だろう。
私は、そんな事を考えながら、布団に入り、目を閉じた。